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世間ではなく私を主語に。 自らの価値観で作品と向き合う「匿名写真展」開催!7月19日(水)〜7月24日(月)

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7月

プロ・アマチュアを含む8名のフォトグラファーが、敢えて作者の名前を伏せて作品を展示する「匿名写真展」を、7月19日(水)より開催します。場所は大阪市にあるイロリムラ展示室3で、入場料は無料。本写真展は、作品に先入観や付加価値を与える「作者の名前」を排除することにより、作品との向き合い方を再考しようとする試みです。

作者の名前から受ける先入観と、SNSが容易にした知名度の獲得

写真を含むアート鑑賞において、作者の知名度や人気によって作品が評価されることが少なくありません。作品そのものではなく作者自身が大きな存在感を持ち、そこに対して世間の評価が集まっているといえます。特にSNSでは、世間すなわち「他者」や「数」の評価が顕著に現れます。2000年代後半にスマートフォンが誕生し、SNSが普及したことにより誰もが以前よりも容易に注目を集めることができるようになりました。特に、Instagramをはじめとするビジュアル特化型のSNSの台頭は、写真に関心を寄せる人口を増加させると共に、近年ではSNSで有名になったカメラマンが写真展を開催し、数多くのフォロワーを動員して盛り上がる様子も見受けられます。

SNSの「数」による評価が、写真業界全体に及ぼす影響への危惧

SNSを発端にした写真ブームが写真業界を活気づける一方、撮影者の価値観や独自性に基づいた定性的な価値はあまり注視されてきませんでした。

たとえばSNSの台頭後、多くのSNSユーザーによってオリジナル作品の模倣が繰り返し行われてきました。その中で作品の源流は曖昧になり、表層のみが模倣されて写真の流行りのスタイルは目まぐるしく変遷。次第に他者の模倣と、撮影者本人の価値観に基づいたオリジナルの自己表現との区別が不明確なまま、作品が制作、鑑賞されるようになりました。作品の評価において、撮影の背景にある無形の
概念については深く論じられず、重視されるのはフォロワー数やいいね数といった定量的な指標であり、数を集める技術を持つ人が高く評価されます。

今後、SNSを入口に写真に関心を寄せた人が多数派となれば、写真業界全体の評価基準が数的な側面に傾いていく可能性は大いにあります。「匿名写真展」は、こうした時流に危機感を抱いたフォトグラファーの青木真吾氏が発起人となり、写真のあり方を再考する場として開催する写真展です。

名前に紐づく先入観を排除した「匿名写真展」の開催

「匿名写真展」では、8名のフォトグラファーが撮影者の名前を伏せて作品を展示します。出品者は青木真吾氏をはじめ、Instagramのフォロワー数百人から数万人、写真歴数年から約20年のベテランまで経験も知名度も様々。匿名で行うことにより、数や経歴、その人物および作品に対する他者の評価といった名前に紐づく先入観はすべて排除され、撮影者と鑑賞者は自身の価値観で自由に作品と向き合うことができます。

撮影者は自己のパーソナリティを作品にどう込めるのか。鑑賞者は作品を通して何を感じ取るのか。自由であるからこそ自身の価値観が問われます。同時に、問答の先に未知の発見があることも期待できます。本試みは、原点回帰であると共に、SNSを主に写真と関わってきた方にとっては新鮮な体験となるでしょう。特に「SNS依存」や「SNS疲れ」を感じている方には、価値観が変わり他者との比較から解放されるきっかけにもなり得ます。

展示会場では、ぜひ一つひとつの作品をじっくりとご鑑賞ください。自分で考える労力を省き、受動的に楽しめるエンターテインメントが流行する時代に一石を投じ、他者に流されない自分だけの価値を見出す体験をご提供できれば幸いです。本写真展は、イロリムラ展示室3にて、7月19日(水)から7月24日(月)までの6日間に渡り開催します。


■開催概要
≪日時≫ 7月19日(水)〜7月24日(月)
12時〜20時(初日15時より/ 最終日18時まで)
≪場所≫ イロリムラ展示室3
〒530-0016 大阪府大阪市北区中崎1丁目4-15
≪入場料≫ 無料

青木真吾
神戸芸術工科大学卒業。某メーカーにてプロダクトデザイナーとして勤務する傍ら、関西を拠点とするアマチュアフォトサークルの企画運営を経て、撮影会をはじめとする様々なイベントを開催。現在はフリーで写真活動を行う。
https://shingoaoki.myportfolio.com/work

協賛|KANI filter  
後援|PHOTO BAR ZERO

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