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2024年3月6日(水)〜 2024年6月3日(月)『遠距離現在 Universal / Remote』@国立新美術館

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5月

ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ、ヒト・シュタイエル、ミロス・トラキロヴィチ《ミッション完了:ベランシージ》2019年 「遠距離現在 Universal / Remote」国立新美術館 2024年 展示風景 Photo by Keizo Kioku

20世紀後半以降、人、資本、情報の移動は世界規模に広がりました。2010年代から本格化したスマートデバイスの普及とともに、オーバーツーリズム、生産コストと環境負担の途上国への転嫁、情報格差など、グローバルな移動に伴う問題を抱えたまま、私たちは2020年代を迎えました。そして、2020年に始まった国境のないパンデミックにより、人の移動が不意に停止されたものの、資本と情報の移動が止まる気配はありませんでした。かえって、資本や情報の本当の姿が見えてくるようになったと思えます。豊かさと貧しさ。強さと弱さ。私たちの世界のいびつな姿はますます露骨に、あらわになるようです。

 展覧会タイトル「遠距離現在 Universal / Remote」は、資本と情報が世界規模で移動する今世紀の状況を踏まえたものです。監視システムの過剰や精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、また人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、あるいはポストコロナ時代の世界と真摯に向き合っているようにも見えます。本展は、「Pan- の規模で拡大し続ける社会」、「リモート化する個人」の2つを軸に、このような社会的条件が形成されてきた今世紀の社会の在り方に取り組んだ8名と1組の作品をご紹介します。

https://www.nact.jp/exhibition_special/2024/universalremote/

■展覧会タイトルについて

本展は、日に日に忘却の彼方へ遠ざかる 、ほんの少し前の3年間のパンデミックの時期を、現代美術を通して振り返る展覧会である。

今の時代を生きる私たちにとって、「遠さ」を感じることは、困難である。だが、その地理的な「遠さ」は決して打ち消すことはできない。コロナ禍では2メートルという距離が設定されたが、それは「飛沫が届かない遠さ」を確保するためだった。あるいは、入国制限や渡航禁止によって、国家間の「遠さ」が露呈した。停滞した物流は、地球に住む私たちに「遠さ」の認識を改めて突きつけた。ふだんは見えなかっただけ、意識にのぼらなかっただけで、もともと「遠かった」ことをこのパンデミックの時に認識したのだった。リモートワークの定着によって「遠さ」を隠蔽、解消することに成功はしたし、コロナが沈静化すると、早くも「遠さ」の感覚を我々は忘れてしまった。

タイトル「遠距離現在 Universal / Remote」は、常に遠くあり続ける現在を忘れないために造語された。本来は万能リモコンを意味するUniversal Remoteを、スラッシュで分断することで、その「万能性」にくさびを打ち、ユニバーサル(世界)とリモート(遠隔、非対面)を露呈させる。コロナ禍を経て私たちが認識した「遠さ」の感覚、また、今なお遠くにそれぞれが生きていることを認識するのは重要なのではないかという思いが、この題名に込められている。


■本展のポイント

パンデミックに対する現代美術からの応答

世界的な緊急事態であった新型コロナウイルス感染症というパンデミックが始まった2020年からの約「3年間」が私たちにとってどのような時期だったのか。社会はいかにして今の姿に至ったのか。今後の私たちはどこに向かうべきか。ポストパンデミック社会と個人の在り方を現代美術で考察します。

グローバル資本主義社会で暮らす私たちを映し出す

本展は、「Pan- の規模で拡大し続ける社会」と「リモート化する個人」の2つの軸で構成されます。「Pan-」と「リモート」は、かけ離れているように見えますが、対立概念ではなくそれぞれがお互いを映し出す合わせ鏡のような存在です。本展覧会は、全世界規模の「Pan-」と、非対面の遠隔操作「リモート」の2つの視点から、グローバル資本主義や社会のデジタル化といった現代美術における従来のテーマを新たに捉えなおします。

「3年間」を経験した「現在」の鑑賞者とともに読み解く

本展出品作品の多くは2019年までに制作されたものであり、コロナ禍の日々の中で生まれた作品ではありません。現在の私たちは、作品が発表された当時、すなわちコロナ禍を経験する前と同じようにこれらの作品をみることはできるでしょうか。過剰な監視システムや精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、その中で生きる人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、またポストコロナ時代の世界と真摯に向き合うものです。

世界が注目する国際的なアーティストたちの作品を展示

本展では、海外を拠点に活動する作家の作品が多く出展されます。
ニューヨークと北京を拠点として世界的に活躍する現代美術の巨匠、徐冰(シュ・ビン)による初の映像作品をはじめ、2010年代より現代美術の動向をリードしているヒト・シュタイエル(ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ、ミロス・トラキロヴィチとの共同制作)、最先端の科学技術と現代美術を融合するトレヴァー・パグレン、多様なメディアにおける芸術制作にハッカーの哲学を応用するエヴァン・ロスによる作品を、国立新美術館の展示空間に展開します。フォト・ジャーナリズムとアート・アクティヴィズムの領域を横断するデンマークの写真家ティナ・エングホフ、韓国の新進気鋭の映像作家チャ・ジェミンは本邦初紹介となります。また本展の2つのキーワードをまたがる地主麻衣子の映像作品、本展のために作品を再構成した井田大介、そして木浦奈津子の新作群を展観します。


【開催概要】
■展覧会名:遠距離現在 Universal / Remote
■会期:2024年3月6日(水)〜6月3日(月)
■会場:国立新美術館 企画展示室 1E(東京都港区六本木 7 丁目 22-2)
■開館時間:10:00〜18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
■休館日:火曜日
■観覧料:一般 1,500円 大学生 1,000円
※高校生、18歳未満の方(学生証または年齢のわかるものが必要)は入場無料。
※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。
■公式HP:https://www.nact.jp/exhibition_special/2024/universalremote/

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